Dr. Jの仕事と子育ての記録

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【家庭の医学】大腸癌の治療費ってどれくらい?民間医療保険の正しい考え方①/2


この記事では主に大腸癌の治療費に関する説明と民間医療保険の考え方についての私見について、2つの記事にわけて書いています。

 

いざという時のための保険。がん保険医療保険などがありますが、実際にどれくらいの費用が掛かり、それに対してどれくらいの保険金があると良いのか。2019年のデータではありますが、日本で一番多い癌は大腸癌。大腸を専門とする消化器外科として、主に大腸癌の治療に関する費用について書いていきたいと思います。

 

入院の費用にはどういった費用がかかるのか?

  • 入院基本料
  • 手術代、麻酔代、輸血代
  • 食費
  • 差額ベッド代 (個室代みたいなもの)

予定入院で手術をする時のことを想定してみると、入院にかかる費用というのは大まかにこんな感じの内訳になっています。このうち、国民皆保険がおりるものは入院基本料と手術代とか麻酔代とかで、70歳以下であれば3割負担になるわけです。ちなみに基本料や手術代などの医療費は国が代金を決めているので、病院が代金を決めているわけではありません。一方の食費や差額ベッド代は全額自己負担ということになります。

入院基本料は入院1日あたり何円というもので、入院日数×基本料という風に入院すればするほど費用がかかります。ただ、入院が長期化するほど逆に1日あたりの基本料が安くなってきます。

 

手術を受ける入院はどれくらいの費用が掛かる?

先ほど述べたように手術代は国が代金を決めています。私は大腸が主に専門としているので、そのあたりの手術費用を調べてみると、

  • 結腸癌手術 腹腔鏡手術 595,100円
  • 直腸癌手術 腹腔鏡手術 839,300~1,004,700円

さらに、これに麻酔代や入院基本料もかかってきます。

例えば結腸癌の手術を受けた場合、順調に経過をすれば、だいたい入院は1週間ちょっとくらいです。ケースバイケースですが、入院費+治療費だけでいえばおおよそ150~200万円くらいになります。ただ、自己負担はこのうちの3割ということになります(70歳以下)。

 

高額療養費制度

ここで重要になってくるのが高額療養費制度です。これは、ひと月に支払う医療費が一定額を越えると、超えた分はキャッシュバックで戻ってくるという制度です。そして、手術をするような入院費は、この高額療養費制度の上限額を越えることが多いので、実際はこの上限額を支払うくらいで済むわけです。

厚生労働省HP 「高額療養費制度を利用される皆さまへ」より抜粋

例えば「ウ」の年収の人が入院費150万円かかって、3割負担で自己負担45万円支払っても、高額療養費の上限額 80,100+(150万-267,00) x 1% = 92,430円だけの負担で済むということです。

ただ、注意点はこれは月をまたがない場合の計算です。高額療養費はひと月ごとの計算になってくるので、月をまたぐ入院の場合には、この額以上の負担となります。

 

高額療養費制度というありがたい制度があるおかげで、これだけ見ると貯蓄だけでなんとかなると思いますよね。ただ、近年増加傾向にある大腸癌は手術だけで治療が終わらないというケースが多いんです。

では、その他にどのような追加治療があるのか。

その②に続く